社用車として電気自動車を導入するメリット

脱炭素化に貢献できる車として注目を集めている電気自動車。このページでは、ガソリン車に替わって電気自動車を社用車として利用する場合に生じるさまざまなメリットについて紹介しています。また、あらかじめ把握しておきたいデメリットもありますので、あわせて解説していきます。

電気自動車導入のメリット

電気自動車を導入することで得られる主なメリットとして、次のようなものが挙げられます。

充填の手間を減らせる

充電をする際の手間や負担を軽減することが可能になります。もちろん、電気自動車であっても、ガソリン車と同様にサービスエリアやスタンドなどでの充電もできます。これを「経路充電」といいます。この場合だと、負担の重さはあまりかわりません。また、商業施設などの目的地で充電を行う「目的地充電」であれば、より効率的に時間を使えるようになりますが、料金を精算する手間はかかります。

けれども、車両の保管所で充電をする「基礎充電」、つまり、保存場所である自社設備の電線および充電設備のインフラを使用することで、ぐっと負担が軽くなります。充填のためにわざわざ時間を割いたり、あるいは料金を精算したりする必要がなくなるからです。

エネルギーコストの削減

エネルギーコストを削減できるところも、電気自動車がもたらしてくれるメリットのひとつです。たとえば、2022年8月時点では、ガソリン車における走行コストが1キロあたりおよそ11.3円/kmであったのに対し、電気自動車はおよそ4.3円でした。このケースでは、なんと6割ものエネルギーコスト削減ができている計算になります。

また、ガソリン車を使用する場合と異なり、コストを安定化させやすくなるところも注目ポイントです。自社の施設内に自家消費型の太陽光発電設備を導入しているのであれば、エネルギーコストが大幅に変動するリスクをおさえることが可能になるからです。

参照元：REXEV

脱炭素化を進められる

電気自動車を使用すれば、脱炭素化に向けた取り組みが進む現在の動きに貢献することもできます。たとえば、2022年8月の時点では、ガソリン車のCO2排出量が1キロあたりおよそ0.155kg-CO2であったのに対し、電気自動車の排出量はおよ0.075kg-CO2にとどまっています。つまり、電気自動車を選ぶことで、CO2排出量を半分近く削減することが可能になるわけです。

しかも、再エネ電気への切り替えや非化石証書の購入、あるいは自家消費型の太陽光発電設備の設置といったようなアクションをあわせることで、CO2排出量をさらにおさえることが可能になります。

参照元：REXEV

災害時に活用できる

自然災害などが発生したときに停電状態になることがありますが、そのような際に、電気自動車を意外な方法で役立てることが可能です。電気を取り出す機能である「V2L」に対応している車両であれば、EVの大容量バッテリーを、非常用電源として使うことができるのです。

ただ、多くの場合、チャデモ規格の急速充電口に接続するための別売の外部給電器が必要になるので、その点は留意しておきましょう。また、急速充電口が装備されている車両であっても、ほとんどの輸入電気自動車はV2Lには非対応であるという問題点もあります。

パーツ交換のコスト削減

エンジン車と比較すると、電気自動車に使用されているパーツ（部品）の数は少ないです。また、減速時に電力を回収する「回生ブレーキ」を活用できるので、ブレーキパッドの消耗をおさえることが可能です。これは、エンジン車にはない仕組みです。

パーツ数が少なく、しかもエンジン振動や高温によってダメージを受けるリスクもないため、電気自動車はさまざまなパーツが長持ちしやすく、交換頻度を低くすることができます。よって、パーツ交換にかかるコストをおさえられるというメリットを得られるのです。

電気自動車導入のデメリット

電気自動車の導入によって得られるメリットについてみてきました。にもかかわらず、日本国内での電気自動車普及率がなかなか伸びていかないというのが実情です。次に挙げるようなデメリットがあることが、その主な理由として考えられます。

遠距離への移動は難しい

電気自動車の普及が進まない大きな理由として「エンジン車と比べると、電気自動車の航続距離は短いのではないか」というイメージが強いことが挙げられます。複数の車種について、電気自動車における航続距離を比較してみても、ほとんどの車種では航続距離に目立った遜色はみられません。

ただ、バッテリー容量の小さい軽自動車など、一部の車両については、実際に航続距離が短いという問題点は確かにあります。電気自動車はバッテリーが空になってしまうと電欠状態となり、車が動かなくなってしまうので、必要に応じて急速充電を行います。長距離走行させる際に急速充電を実施する間隔は、およそ100キロから120キロほどになります。確かに、エンジン車の感覚からすると短く感じられるというのは、必ずしも否定できないものがあります。

充電に時間がかかる

充電をするのに長い時間がかかってしまうところも、電気自動車のデメリットのひとつです。自社や拠点などに充電設備があればそれほど不便を感じないかもしれませんが、そうでなければ、給油と比較すると充電時間の長さが気になるというのはごく自然なことだといえるかもしれません。

けれども、電気自動車の充電は、基本的には停車時にするものである、という考え方をベースにすることで、発想の転換をはかるのもひとつの方法です。自社や拠点などで、電力需要のピーク時ではない夜間などに充電をしておけば、むしろ時間を有効利用しているともいえるわけです。